英語喉暦10年ぐらいの自分にとっては、ネイティブ同士が話す英語と、ニュース英語を比べて、どちらが難しいということはない。どちらかと言えといわれると、常識的に、日常会話の英語のほうが簡単なはずだと感じる。なぜならば、
「経済状況の悪化にともない、XX州の失業率が低下しました」
というニュースっぽい言語より
腹減った。なにか食べよう。
という日常言語のほうが簡単に決まっている。
では、なぜ、多くの英語学習者がニュース英語はなんとかいけそうだけど、ネイティブが話し出すとさっぱり分からないというのだろうか?
一つは日常生活の英語のほうが流動性が高く、音のひっつきぐあいが過激だ、、と言える。
が、それにしても、そんなに言うほど違うようには思えない、、、。
もう一つの仮説がある。それは、日本の普通の英語学習者は1シラブルごとに意味をとっていないんじゃないかということ。
ニュース英語は、難しい言葉が出てくる。英語だと、1シラブル以上の単語だ。日本人は、もしかして、1シラブルごとじゃなくて、ある程度、長めの塊で英語を聞いているんじゃないだろうか?
だから、英語となったとき、簡単で短い単語(日常英語の大半を占める)が聞き取れない?
例えば、自分の場合、Iと聞くと、すでにIだけで理解し納得している。AMと聞くとAMだけで納得する。
しかし、日本語の感覚で英語を聞いている人は、もっと長めの単位で意味をとろうとしているのではないか?
私の場合、広島弁が母語なわけだけど、広島弁も短い単位で意味が完結していることが多い。
例えば私は「わい」か「わえ」でどちらとも1シラブル。
「です」は「じゃ」で1シラブル。
広島弁では、シラブルごと、(あるいは2シラブルぐらいごと)に意味をとるのが普通なのかもしれない(と、言っても、日本語なので、絶対こういうのばかりではないが、単語が短め)。
わえ、は~、こん、け~、のお~全部1シラブルつづで意味が完結している。
- わえ=私は
- は~=もう
- こん=こない
- け~=から(理由)
- のお~=ね
英語も同じだ。
I am a man.
I=私は
AM=である
A=一人の
MAN=人
標準語ではちがう
わたしは、駅にいます。
わ=?
た=?
し=????
ネイティブ同士の英語が聞き取れない学習者は、シラブルを聞いた瞬間にその意味をとるということをしていなくて、しばらく待っているのではないだろうか????
チャンク・熟語で英語を覚えようという人たちは特にそういう傾向があるのかもしれない。
なぜ、この考え方にいたったか。上田式シャドーイングで有名な上田亮さんが、「日本語でも100%のシャドーは無理」と言って、動画で示されていた。これに私は驚いた。私は余裕で日本語の100%シャドーできるからだ。
で、その動画を見ていると、上田さんが、平仮名ごと、シラブルごとじゃなくて、長い単語をしばらく待って、聞き終わってから繰り返している様子が見て取れた。自分だったら、聞いた瞬間のシラブルごとに音を真似するだろう。<しかし、そういえば、標準語はしばらく聞かないと意味がとりにくい。>
つまり、聞こうとする単位が、標準語では長い。その調子でネイティブ同士の英語を聞くと、ついていけない。ところが、長めの単語がたくさん現れるニュース英語なら、聞えることがあるということではないだろうか????
日本語の標準語でなら、確かにある程度の長さをもった単位で聞かないと意味がわからない。
例えばだが、橋と箸の違いは、最初の「は」を聞いて、次の「し」まで聞いて、「し」の音程が「は」より上か下か、、を判断する。だから、「は」の段階で、聞き取って納得するのは、時期早々。
日本語・標準語では、また、シラブルの内部はあんまり聞いていないと感じる。
英語では、シラブルの内部にたくさん情報がある。
SPRINGとか、1シラブルだけど、S,P,R,I,N,Gとたくさ~~~~ん音が詰まっている。
だから、この1瞬で発せられる1シラブルの内部を聞いていないとだめ。
広島弁でも実は同じ。
「じゃけんね」の「じゃ」の内部を聞いていて初めて、蛇なのか、邪なのか、あるいは、「じゃけんね」のジャなのかが分かる。
中国でも、これは圧倒的に同じ。四声というのがある。
母と馬の違いは、シラブルの中の音程の違いを聞き取らないといけない。
シラブルの中を聞く、シラブルの一つ一つを聞く。
これが英語の聞き取りの基本で、英語喉をやっていないとおそらく聞き取りにくいと感じる。
英語喉をやっていないのに、聞き取りが結構できる人はたぶん、西日本人。