December 2007
Kさんからのアドバイス
喉発音への移行について経験者からのアドバイスです。参考にしてみてください。 http://www.nippondream.com/tips.htm#advice2
シラブルが絶対的に重要
昨日、中国語話者の英語について書いたが、そのきっかけについて少し話したい。ある日本人の人に本のことを話していたら、その横にたまたまいた見知らぬ人が、「いや、でもインド人や中国人でもなまりがありますよ」とおっしゃったことが一つのきっかけだ。「日本人だけが苦労しているんではありませんよ」というメッセージがこもっていたように思う。 喉に関する話に触れた人は、きっとそう思うことだろう。日本人だけが苦労しているんではない。フランス人だってHが言えないし、皆アクセントがある、、、と。 ところが、、、日本人が英語で苦労するレベルと他の外国語話者が苦労するレベルは結構違っている。そして、このことは日本人の学習者にはわかりにくい部分だ。見えない部分といったらいいだろうか。 他の外国語話者は、例えば、アメリカに移民してきたとすると、ふつうの状況にある人であれば、英語を結構うまくマスターする。ふつうの状況と書いたのは、ケースによっては、毎日働きづめで、英語を勉強する時間のない移民もたくさんいるからだ。 ずばりいえば、日本人以外の殆どの外国語話者は、最初っから英語の音が聞けているのである(殆どと書いたのは、東アジア系の言語話者、例えば朝鮮語話者や中国語話者もも、西洋言語話者に比べると、日本語話者の比ではないが、苦労している可能性がある)。 例えば、TAKE IT EASYという発話を聞いたとき、日本人以外のほとんどの外国人はTAKE IT EASYをTAKE IT EASYと認知しているのである。そして発音するときも、それなりにTAKE IT EASYと発音する。 ところが日本語話者がTAKE IT EASYと聞いたときに、テイキリージーと聞いてしまうのである。これはシラブルの構造が日本語と西洋言語では根本的に異なることが原因である。この点は英語喉で力説している。 外国人は発音するときに、それなりに発音している、、、と書いたが、もちろんなまりはある。しかし、そのなまりは、ちょっと聞いていればすぐになれるようななまりなのだ。一度、ローマニアの人と喋ったが、彼らはTHをFで置き換えて発音していた。I THINKがI FINKとなる。ところが、ちょっとなれると容易に理解できるのだ。THのときにFがいつも出てくるので。 ところが日本語のカタカナを通じた英語は、ネイティブにとってそのシステム性が見えにくい。例えばだが、STICKだとスティックだったり、ステッキだったりするが、Kがクだったりキだったりするわけで、そのあたりがネイティブの想像力を超えてしまう。 日本人だけが苦労する、、、と極端に言ったが、誤解のないよう願いたい。もちろん、英語をマスターするのは、簡単なことではないが、日本人の苦労は本当に大きい。 これはシラブルの構造の違いが原因である。 英語を3ビートで聞くことになれると、あたかも日本語を聞いているかのように英語が頭にはいってくる。実はそんなに難しいことではない。シラブルの中心にはいつも母音がある。だから、シラブルには規則性がある。本能的につかみやすい規則性だから、誰でもできるようになるのだ。 いったりきたりするが、アメリカ人が日本語を聞いたとき、最初っから聞けているのだ。日本人の観点からすると、例えば、「わさび」という単語をアメリカ人に教えるとすると、何回も繰り返して、言ってあげないと、聞き取れていないと思ってしまう。だって、自分だったらそうしてほしいから。英語の単語を何回か聞きなおしたいものだ。ところが、アメリカ人が「わさび」という単語を聞いたとき、WASABIとしてすでに聞こえているのである。 昔、ツルコウのオールナイト日本という深夜のラジオ番組があり、この歌(洋楽)のこの部分はこう聞こえる、、、というコーナーがあった。品性下劣な例ばかりだったので、紹介はできないので、かってに作って説明すると、例えばレッドツエッペリンのWHOLE LOT OF LOVEはホラララララアに聞こえる。 このような冗談、、、というか番組は、西洋言語話者を対象としてはできない。というのは、例えば、日本語で、「ゆーきやこんこん」と歌うと、その個々の音は正確に聞き取られているからである。外国人にとって個々の音を聞き取るというのは、息をすうとかと同じぐらい基本的なことなのだ。 もちろん、歌詞がはやすぎたら、覚えきれない、ちょっと聞き逃した(音がちいさくて)、、、ということはあるかもしれないが、基本的に音は聞き取れているのだ。 3ビートの話者は2ビートの言語を聞いたとき、あ、これは2ビートだな、、、と分かるのである。分かるから聞き取れるのだ。 日本語話者も3ビートになれれば、どんな言語でも、意味はわからなくても、書けといわれれば書けるようになるのだ。
中国語話者の英語が通じる、分かる理由
中国語においては漢字の一つ一つがシラブルだ。例えば図書館なら3シラブルだ。シラブルが非常に身近なものだのだろう。だから中国語話者は英語にそれほど苦労しないような気がする(日本人と比べると)。 中国語話者の英語も結構、CHOPPYだが、それでも通じるのは、CHOPPYながらも、シラブルはシラブルとして区別されているからだろう。例えばMACDONALD’Sはもともと3シラブルだが、中国語話者も3シラブルで発音すると思う。日本語話者はこの単語を6シラブルで言ってしまう、、あるいは、それっぽくいっても、3シラブル以上のシラブルを加えてしまうので、単語の意味自体に影響を与えてしまう。 テレビのトラベルチャンネルを見ていたら、中国の紹介の場合(中国語話者が英語を喋っているところを想像してほしい)、どんなになまってると思える英語であっても、そのまま放映されているが、日本の紹介のとき、日本人が英語を喋っていると、え、これ結構流暢じゃないの?というような英語でも、字幕がついてくる。英語でしゃべっているのに、その英語に字幕がつくのである。 それは、全然分からないから、、、というわけではない。ネイティブが真剣に想像力を働かせて聞けば、理解はできるだろう。ところが、テレビを見るときは、たいてい、ぼやーんとして見ているのだから、一生懸命聞かなければいけない英語は疲れてくる。だから字幕を見てもらうのだ。 それから、中国人の場合は、長く住んでいると、普通は英語の聞き取りが100%出来ているように思う。喋るときはややCHOPPYでも聞くときは正しくシラブルを認識しながら聞いているのであろう。 日本人の英語も喉+3ビートで聞き取りやすいものになる。 このエッセイの最初に図書館という中国語は3シラブルですよと書いた。アメリカ人が中国語を学んでいるとすると、きっとこのことは言われなくても実践するだろう。日本語話者の場合、このことに気がついていないような気がする。図書館を5シラブルぐらいかけて発音しそうな気がするのだが、中国語学習者の皆さんどうでしょうか? 例えば館のところ、クワンみたいに。これだとそれだけで3シラブルになる。 シラブル数がくるうと単語の意味自体が破壊されてしまうのである。