January 2008
Wの悲劇
週末の分として、もう一つだけ書いておこうと思います。 Wって、実に罪作りな音です。喉革命が2007年まで起こらなかった理由の一つだったと思う。というのは、確かにWってちょっとだけ難しいけど、口発音でやるとある程度の難易度を持ってできてしまう、、、というかできたような気になってしまう。他の音は口発音でやってる間は、どうがんばってもできない、、、という絶望感があるのだけど、Wはできたような気になってしまうのです。 日本語にすでWはあるんだけど、それは「わ」だけ。だから例えばWのあとにウみたいな音のくるWOULDといかだと、口発音でやるには、ちょっとこつがいる。唇をまるめて、WOODというと、それなりにWに似た音が出るわけです。でも、その難易度がまあまあの難易度だから、口発音で10人挑戦したら、2人ぐらいはできない(WOODをおもいっきりウッドと言ってしまう)、、、ぐらいの難易度です。 だから、口発音だとしても、それなりに近似値的な音が出るならば、かなり納得してしまうんです。で、2人ぐらいはできない人がいるから、それなりに、達成感みたいなものもある。やっぱり練習したらできるようにあった、、、というような達成感もでる。でその音は確かに唇を丸めないと出ないんですよ。 ところが喉発音でやると、Wはゲップエリア発音なんですが、唇を丸めなくても出ちゃうんです。気分的に、ちょっと唇が近づくような気がするし、まあ、おおげさに言うならそうしてもいいんだけど、唇を丸める、、、とまでは行きませんね。もちろん、丸めたかった丸めてもいいんですけど(表情として)、音には意味的な影響を与えない(そりゃ音のこもり具合がちょこっと変わるかも)。 で、口発音のパラダイムで考えているときがあったんだけど、そのときはWは唇を丸めると私も信じきっていた。で、ものすごいテクをそれなりに開発してた。文字で伝わるかなあ、、、。両手をラッパみたいにして、口の前につけるんです。水をすくうようなかんじで手を握って、右手のとこにできる穴に口をつけて「あー」って言っといてから、その反対のところを開くと、Wのような音が混じるんです。(文字じゃ通じないから下で音声で説明していますね)。で、そのWの感覚を覚えておいて、今度は実際に口で言ってみる。 http://www.nippondream.com/blog/w.wav ものすごいテクニックでしょう?口発音のパラダイムで考えてたわけです。このようなテクニックの数々を。 でも本当の正しいネイティブ発音は、ゲップエリアで音を発音すればよくて、唇の形は考える必要がないんです。
SETさんの質問 Sは本当に喉発音?
昨日のBLOGにSETさんがとてもよい質問をしてくれた。そこで、返答を書いておいたので参考にしてみてください。 http://nippondream.com/estatus/wordpress/?p=89#comments で、Sはそんなに気にしなくても、、、という気がするのだけど、やはり喉発音しておかないと困ることがある。というか、まあ、他の音を喉発音していて、ゲップエリアが喉発音になっていれば、自然とSも喉発音になるので、それほど心配することはない、、、が、当然、喉本でSのところを勉強しているとき、単体としてSが、あー喉だなあ、、、と実感できていれば、その後のレッスンに進みやすい。 他にもHだとかあるから。 Sが喉発音だと実感しにくい理由はSETさんへのコメントで書いたのだが(上のURL)、引用しておく: 確かに、口発音のSの音と喉発音のSの音は、どうしても似て聞こえることがあります。Sはさすがに風の音っぽいですから。無振動音なので。また喉には穴が(あたりまえですが)横や縦には開いていなくて、音は口を通じて出てくるわけです。口は耳に近いですから、どうしても口で響いているように聞こえます。(改行)また10%ぐらいは口で響いていますから、特にSは微妙になります。喉で90%響いている音よりも、口で10%響いている音のほうがかえって大きく聞こえたりします(口が、聞いている人の耳に近いという理由で)。(改行)ですから、実践上は、自分の体の中、喉の中でSは喉で響いているという感覚があれば、OKということにしてみてください。 響いている、、、と書いたけど、厳密には無振動音なので、響くという言葉は問題があるかもしれないです。だからアクビポップ(非常に微妙)が感じられるかどうかを基準にしてください。 、、、と書いたあと、思ったことがある。というか気づいたことがある(SETさん質問ありがとう)。やっぱりSが口発音のままだと困る、、、ということだ。特にグループ子音にSが現れるとき。で、音声で示してみるが、例えばSTREETという単語があるとする。この最初のSを口発音してしまうと、STRという子音のつながりをスムーズに、一塊としていうことができない。あるいは、ものすごく変わった名前かもしれないが(勝手につくってしまうが)、TSUという犬の名前があるとする。で飼い主は、この発音を正確にT,S,Uと呼んでくれ、と頑固に主張しているとする。 SからTなど、その他の子音への移行をスムーズにするには、やはりSを喉で発音しておかないと難しい。でも、繰り返すが、ゲップエリアを定位置にできていれば、自然とそうなることだ。というのは、他の音は喉で、Sだけ口、、、というのはかえって難しいからだ。 参考の音声 http://www.nippondream.com/blog/street.wav グループ子音ってのは、喉でやるからこそ、すながって発音できるんです。これができないと子音がつながるときに、シラブルをうまくつくれなくなる。STREETって1シラブルなんだけど、喉でやらないと口発音=カタカナ発音になるから、5シラブルぐらいに膨れ上がってしまう。その段階で、Rの発音が正しいとかそういうレベルじゃないレベルでもともとの単語の意味が破壊しまうのです。 上を録音し書いたあとで、SPRINGのほうが分かりやすいなあ、、、と思ったので、再度録音(あ、ごめん、SPRINGのIがi_か Iか確かめないまま録音してしまった、、、i_で言ってしまっているけど、たぶんIが正しい。これ確認しときます、、、誤解を招くかもしれないんだけど、英語喉をやったあとは、これまで覚えていたことが99%違っていたりするから、音と単語の覚えなおしの旅が始まるのです。ゆったりと。究極的には実際に音をきいたり、ネイティブに確認したりして、覚えなおす、、、と。少なくとも私たちの世代は。)。 http://www.nippondream.com/blog/spring.wav 日本語でいうと、「おじさん」を「おーじさん」と読むともともとの意味が破壊されてしまうのと同じ理屈です。 Sの喉発音と口発音の違いというのは、わかりにくいところがあると思うので、できているかどうかは、 1)自分で感じるかどうか(喉がリラックスして、微妙なポップを感じるかどうか) 2)グループ子音の発音をスムーズにできているかどうか で判断するのが良いと思います。実際、私自身も、口発音と喉発音のSを聞かされてどっちがどっちかと言われる、、、と比較したら分かるけど、単体で聞かされたら、ちょっと迷うかも。口発音のほうは単体でもわかるけど、喉発音のほうだけ聞かされたら、「すまんけどもう片方のも聞かせてくれる?」と頼みたくなると思う。というのは喉発音の場合も口が10%ぐらいは活躍しているのだから、まぎらわしい。