August 2011

批判的コメンタリー
英語教育学者さんたち、ぜひ実験を

直接指導喉セミナーをご希望のかたは、メールくださいね(question AT estat.us)。詳細はメニューのほうにもあります。 私は仕事で、実験という方法を使った教育研究を読んでいる。それは、アメリカ教育省のプロジェクトの仕事をしているからだ。どんなやりかたをしたら、生徒の数学力、国語力を向上できるか?あるいは、どんなことをしたら、生徒がドロップアウトしなくなるか?というような研究をたくさん読む。で、読んで、その研究が科学的に正しい方法を使っているかを評価する。ただし、結果に関しては感知しない。ある方法Xが実際に効果があったかどうかではなく、その効果を確かめるメソッドが正しいかどうかを判断するのである。 さて、皆さんのとんちを試してみたい。以下の方法は、一つ、大きな失敗を含んでいます。それは何でしょう?まあ、まあ難しいと思います。 60人の生徒がいます。ランダムに30人VS30人に分けました。グループAは、普通の授業で英語を勉強します。グループBは、特殊なやりかたをします。研究の目的はこの特殊なやりかたに効果があるかを試すものです。グループAは田中先生が教えました。グループBは上田先生が教えました。3週間後に、テストをしました。すると、特殊なやりかたで英語を勉強したグループBのほうが、テストスコアが良かったのです(統計的にも優位でした)。 さて、なにが失敗でしょうか? 失敗は、この研究のセットアップだと、本当に、あるやりかたが効いたのか、あるいは、じつはたまたま上田先生が田中先生より教え方がうまかったのか?が区別できません。専門用語というほどではありませんが、 TREATMENT EFFECTとTEACHER EFFECTを区別できないのです。 だから、少なくとも、先生をグループごとに、一人以上にするとか、あるいは、複数の先生が両方のグループを教えるというような工夫がいります。 ネズミなどを使った医学の実験では、ランダムに分配するのが簡単なのですけど、上のように本当の人間を現場で実験する場合は、失敗が色々と起こりやすいのです。 じゃ、これはどうですか?ちょっと難しいですよ。 60人の生徒がいます。ランダムに30人VS30人に分けました。グループAは、普通の日本の典型的な授業で英語を勉強します。読んで訳すことだけです。グループBは、会話を中心とした授業です。研究の目的はこの特殊なやりかた(会話中心)に効果があるかを試すものです。3週間後に、会話力のテストをしました。すると、特殊なやりかたで英語を勉強したグループBのほうが、会話力テストのスコアが良かったのです(統計的にも優位でした)。 なんか、別に問題がなさそうですね?でも、実は大問題なのです。それは何かというと、片方は、会話の練習をしていません。片方は会話の練習をしました。でテストは会話力テストです。これはテストが実際のTREATMENTの内容に重複しすぎています。つまり、特殊な授業とテスト自体が同じ会話力なので、効果が出ている、、、つまり、特殊な授業自体に効果があるというより、たまたまテストで問われる内容と、TREATMENTと同じです。これはダメですね。片方のグループはそもそも会話をやっていないのですから。 ただ、上のケースは、「う~ん、まあいいか?」ぐらいのボーダーラインです。授業で使った会話の内容とテストで問われる内容が同じだったら、絶対だめです。 (これで思い出しましたけど、TOEICの準備勉強をする、、、ということ自体、実は、教育結果計測学的(EDUCATIONAL MEASURMEENT)には、好ましいことではないのです。特に、準備のときと同じ問題が出たぞ!となったら、ただしく個人の実力を測れませんから。) じゃ、これはどうでしょう?簡単にしますね。 30人、30人とランダムにグループ分けをしました。実際に、TREATMENTを始めると、内容が嫌いな生徒が、グループを変えてたいと望んだので、好きなグループに移りました。 これはだめですね。生徒の好き嫌いが結果に影響を与えてしまいます。こういうのをSELF SELECTIONといいます。じゃ、これは?実際には、見つけにくい問題ですが、 グループAの先生とグループBの先生達は、友達同士なので、仕事が終わってから、お互いの教え方を議論しました。 これだと、教え方に影響を与えてしまいます。SPILL OVER と呼んでいる問題です。 英語教育だけにたよらず、社会的、心理的現象というのは、原因が一つとは限りません。英語力がなぜ伸びるか?というのにも色々あるでしょう。だから、二つのグループがあったとして、その違いを、あるTREATMENTを受けるかどうか、だけにすることで、結果を比べるのです。 英語教育者さんたちが発言をするうえで、やはり実験をして結果に基づいたものが好ましいと思います。 でも、多くの先生がたがおっしゃることは、予測できます。私は英語教育学者ではない、、、私はESLの研究者ではない、、、とかですかね? ちなみに、以下は私自身も関わった実験です。これは教師の受けたある研修が、生徒のリーディング力に影響を与えるかというものです。 http://ies.ed.gov 英語をどうやって教えるのか、いや、他の教科も同じですが、という議論が多いですが、実際に実験をしてみたらよいと思います。 アメリカはものすごいお金をかけて、色々な教育の実験をレビューして、その結果を公表しています。

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文法が大切だという言説について

直接指導喉セミナーをご希望のかたは、 http://nippondream.com/eigonodo/semina さて、大津由紀夫先生のサイトに、慶應義塾大学英語教育/言語教育シンポジウム http://www.otsu.icl.keio.ac.jp/ という企画の告知があって、実際にプレゼンテーションされるかたが紹介されている、だけでなく、PDF形式で簡単に内容も読める。 江利川先生は、歴史的に英文法がどのように教えられてきたかということのレビューをされている。 http://www.otsu.icl.keio.ac.jp/files/i/2011/2011-09-10%20Erikawa.pdf ただ4ページで、日本がコミュニケーション重視になったから、文法を軽んじているという主張は、いきすぎではないかと思う。実際に、データに基づいていないように思われる。それを主張するのであれば、インタビューであるとか実際の授業観察をし、データをコーディングしてからにするべきであろう。ただ、以下の引用がある。 斉田智里(2010)によれば、高校入学時での英語学力は 1995 年から 14 年連続で低下し続け、下落幅は偏差値換算で 7.4 にも達する。 私は教育研究の専門家であり、仕事で、教育の研究を評価している。またこのかたが使われているラッシュモデルというのもやっている(GOOGLEでRasch modelと打てば私の説明がWIKIに続いてランク2位として発見できる、、、これ。)。 このようなCLAIMができるデータが日本に存在するとは思えない。昔と今の全国のランダムサンプルなんてありえないと思うが。また、項目反応理論的にも、EQUATINGなど無理じゃない?そんなデータあるの? 実際にこの論文を読むのにはどうしたらよいのだろうか? <後日談 英語喉実践者のかたのご協力でこの博士論文がゲットできました。読んでみると、日本全体のデータではなく、茨城県のデータでした。また、リサーチの目的も、心理統計モデルを使って、こんなことできるかな、過去のデータを使えるかな?という実験的、メソッド的な試みに私には読めました。さらに、方法論の描写を読んだのですが、過去のデータの個人レベル+テストアイテムレベルでのデータ(つまり心理統計学をするのに必要なデータ)を使ったのかどうか分かりませんでした。 この論文を使って、日本人全体の英語力が下がっていると主張している先生への感謝の言葉などがありましたので、お知り合いのようです。> 斎藤兆史氏は、以下のPDFファイルで http://www.otsu.icl.keio.ac.jp/files/i/2011/2011-09-10%20Saito.pdf ジャズの即興演奏は、ジャズの理論を頭で覚えるところからはじまるのであり、理論も知らずに「シャワーのように」ジャズを聴き、ジャズっぽく楽器をかき鳴らしたところで、即 興演奏などできるようになるものではない とおっしゃっている。文法が大切だということの比喩だ。私はギタリストであり、即興演奏が中心なのだけど、理論というのは、後で納得するものだと思う。もちろん、スケールというのは覚えているが、それにしてもドレミと、あとブルーススケールぐらいだ。 私はジャズはしないけど、もしジャズを引きたければ、シャワーのようにジャズを聴けば、もちろん、ジャズが弾けるようになるだろう。 ジャズギタリストのMASAさんならどういうだろうか?MASAは、なんとBLOGを始められている。これまでMIXI日記だと、MIXI会員じゃないと読みにくかったのだ。こちらをクリック。 <さて、マイケルシェンカーがとても参考になり、また私も「そのとおり」と膝をうってしまったギターの弾き方、覚え方の説明をしている。とにかく、ギターをさわって、いいなと思うコードとかを発見していくと彼は言っている。まさにそれだ! http://www.youtube.com/watch?v=ntQe0C2Wqss&feature=related > これ(以下)は私がアドリブでギター演奏を録音したものです。理論から始めてはいません。繰り返しになりますが、ドレミとかブルーススケールぐらいは知っていえるが、さわぐことのほどではない(そういう意味でも英語を喋るときの文法に似ている)。 http://www.youtube.com/watch?v=3pEA2qEGuDE 鳥飼玖美子先生のPDFはこれ。 http://www.otsu.icl.keio.ac.jp/files/i/2011/2011-09-1-%20Torikai.pdf 3)教育程度 教育程度が低ければ文法の理解は困難 教育程度が高ければ文法を理解し誤用の修正を望む 4)「書く」ことの指導には文法が必要 5)会話でもフォーマル度が上がるにつれ文法的正確さが求められる5 6)仕事に使うなら文法的正確さは必要 私の感じでは、文法というのは非常に簡単なものばかりだ。動詞にSをつけるとかですよね。どういう文法をとって、これが大切だとか思われているのだろうかというのが知りたい。ちなみに仕事に使うレベルの英語は、すでに文法など考えていないレベルで、いかにフローを大切にするかがPRIORITYとなる。 英語に、それほど、難しい文法は存在しないように思える。コミュニケーションに力をいれたらおろそかになる文法というのはどういうものなのだろうか? 大津先生はこちら。 http://www.otsu.icl.keio.ac.jp/files/i/2011/11-09-10-otsu.pdf 突然ですが、日本語でちょっとことばが出てこなかったりすると、「えー」って言うでしょ。英語では Uh(あまり口を大きく開かないで「アー」という)と言います。この Uh も日本語の「ね」と同じように、文の途中で入れることができるところとできないところがあります。(8)だと、 (9) My name ∧ is Jun. (10) […]

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練習方法としてのクッちゃんと喉やん

直接指導喉セミナーをご希望のかたは、メールくださいね(question AT estat.us)。詳細はメニューのほうにもあります。 MASAさんとリトアニアのヨビタさんの会話がいい感じだ。からみつき度が高い。お互いがお互いを確実に一語一語理解していて、会話のキャッチボールが成立している。 http://audioboo.fm/boos/433393-masa-radio-73-talking-to-jovita-from-lithuania?force_mobile=false さて、さらにMASAさんのうちでは、口太郎と喉太郎が風呂掃除をしているらしい(爆笑)。 http://audioboo.fm/boos/433660-nodotaro-radio-1-talking-to-kuchitaro-o MASAさんが喉発音で喉太郎、口発音で口太郎を演じている。 しかし、これは単なるエンターテイメントではない。口発音と喉発音を演じるということは、両極端を演じなければならないということだ。喉やんをやっているときに、口発音はゆるされない。その逆もそうだ。 日本人は、普通に喉発音していても、やや甲高くなりがちだ。だから、喉やん、喉太郎を演じるぐらいの音程、響き具合がちょうどよい。 MASAさんも、喉太郎を演じているぐらいの音程と響き具合、落ち着き(?)がよいのではないだろうか? 日本人なので、喉発音をしていても、甲高くなりがちなのは、メカニズムがある。特に日本人同士で話していると、テンションがあがってくるのだ。テンションをあげることで、お互いに尊敬を払っている、お互いを認識しているということではないだろうか? 英語では、テンションを上げるとしても、それは喉音の深さを保ったままで、やらないといけない。 上に上がりそうになっても、がまんして、そのまま響きを保つのだ。 しかし、クッちゃんと喉やんを演じて学ぶものが多い。クッちゃんがテンションが高いので喉やんもつられてしまう、、、というか、リラックス度を保とうとすると、声が小さくなる。今日は、もっとがんばって、両方、ちゃんとできるようにしてみたい。ただし、全てがアドリブ、録音ボタンを押してからの思いつきなので、一回しか取らない。どこまで成功するかな? 皆さんも、この一人二役で練習してみてください! 今日の英語講座の表現は、YEAH, RIGHTです。英語喉223ページにある表現です。皮肉です。はいはい、そうですよ、、、という意味です。発音は Y_-Ia_u_-#/r_-AI-T あれ、今気づいたけどYEAHって非常にイレギュラーな発音ですね。でも、そういえば、それは本の執筆中にジーナが指摘していました。単語、表現というより、喉の音みたいな感じかもしれませんね。うなづくときに言うア~ハ~とかと同じで。 [audio:http://nippondream.com/eigonodo/wp-content/uploads/2011/08/kaz_08_09_2011.mp3|titles=kaz_08_09_2011] 直リンはこちらをクリック。

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