日本人に一番合った学習法
斎藤 兆史氏の著作だが、明治時代の英語の達人と呼ばれた人がいかに、英語を読み込むやりかたでマスターしたかということを伝える本なのですが、その人たち自身は、会話などの練習もしたかもしれませんが、そういうことではなくて、懸命に読んだから英語ができるようになったのだと斉藤さんが主張する本です。
したがって、現代の人もちゃらちゃらした英会話よりも、読むことを頑張ろうということを主張されています。
読むことだけでなく文法をしっかりやるということも書いておられたと思います。
さらに、明治の英語の達人でも日本語を忘れてしまった津田梅子やジョン万次郎は、好ましくないと斉藤先生は示唆されていて、現代人もまず日本語をしっかりしてから英語をやったほうがいいということです。
この本の問題点としては、会話練習と英語の本を読むことを実践して、結果として英語ができるようになった場合、本を読むことのほうが大切だったと斉藤氏が決定してしまう点です。
強引に思えます。
例えば、英語の達人として登場する明治の人で留学をした人をとらえて、本を読んで必死に練習したからだと結論づけます。が、留学で会話なども役立ったのかもしれません。
日本語がしっかりしていたら英語も上手になるという点も、どうなのでしょうか?これはなんらかの研究があるといいと思いました。
以下は単なる意見です。
特に日本語は国語・標準語が方言と違います。田舎者の場合、方言に加えて、国語を勉強します。母語である方言での表現能力が英語に関連しているということであれば、頭の良さが英語力に関係するというのはありそうですが、地方の小学生なら、勉強中の国語の力が英語力に関係するのかな、、???
国語力がしっかりするほど、英語文法をアドリブで使う力がなくなってくるのではないかなと思います。発想法が国語的、標準語的になってくるからです。
80ページあたりで、日本人が英語をやっても、ある程度年齢がいっているから学んだ英語ではネイティブと平等な立場に立てないと主張されています。
ところが、これもまた私の観察ですが、2016年の現在では英語をネイティブのように操る日本人はそれなりにいて、実際、自分自身も米国の民間企業で普通に英語を使っていますが、普通に平等な立場になっています。
2016年の今ではネイティブのように英語を話す日本人がそれなりに出ています。西日本人が多い傾向にあると思います。
日本人以外のノンネイティブでいうと、アメリカ社会だと中国人、韓国人、その他のノンネイティブが普通にネイティブのように英語を使っています。
なまりはあるでしょうが、2016年の現在、中国人などはネイティブのようなアクセントで話す人が結構います。
YOUTUBEの時代です。
英語喉で発音、聞き取りから始めれば普通にネイティブレベルに近づいていくことでしょう。
さて最後に臨界期説と言うのが出てきて、13歳ぐらいまでに外国語を始めていないと、マスターは難しいという説ですが、実際に研究があるのでしょうか?研究があるものだと皆が思っているだけではないかな。
実際に、実験は倫理的に不可能ですから、証明不可能のように思います。
研究文献を見てみたいものです。
クールジャパンの6月放映の和製料理(うろ覚え)だったか、俳人(女性)が面白いコメントをしていた。日本語は表現の言語(to explain)、英語は伝達の言語(to communicate)であると。例示したのは、日本語では「雨」を示す語彙が400語(40語の聞き違いかも)であると。茂木氏の『最強英語脳』でも、これに類することが書かれています。例示が「ゆらぎ」だったと記憶するが、これは英語にない概念、このようなことは英語では発信しないとあった。孫引用であるが、内田樹氏も、仏語で表現できないことは、著作していないとあった。
http://www6.nhk.or.jp/cooljapan/
>日本語は表現の言語(to explain)、英語は伝達の言語(to communicate)
私の知る限りでは『日本語は描写の言語、英語は動作の言語(動詞が中心なので)』という印象でしたが、そういう解釈もありますね。日本人はお互いにどんな人か分かっているのが前提なので(移民がいない)、より感じ方を追求する方向にいったのに対して、英語は背景の全く違う人と意思の疎通をする事がメインなのでそうなった、という事でしょうか。
>「ゆらぎ」だったと記憶するが、これは英語にない概念、このようなことは英語では発信しない
そういえば、無さそうですよね。『曖昧さ』を受け入れる文化は日本的ですからね。もちろん英語でも、fuzzyとかの単語はありますが。昔、日本でエアコンの機能などで『fuzzy理論』が流行った事がありましたね。