以下のTWEETがどこが間違っているのかということが話題になっていたので解説してみます。
結論からいうと、このNYタイムスの記事を書いた著者の書き方(記事の中の文化解釈的な部分)が、うまく書けていません。
ただし、この記事自体が重要なテーマを扱っているもので、そのたった一部分をとってやいやい言うのも変です(今では反省している)。
元々、この記事を読んだところから始まったではなくて、どなたかのTWEETに反応したので、細かいところだけを見ていました。
<最初に書いた記事に私自身の勘違いがありましたので訂正しました。ただそれも著者さんの書き方がおかしいのでそうなったと思います。>
以下が一連のTWEETでした。
http://alfalfalfa.com/articles/208269.html
これが発端となったTWEETかな?
ニューヨークタイムズによって、日本はレイプ天国だということが世界に知れ渡った。レイプされた女性の15人に1人しか訴えない、起訴されて罪に問われるのは10人に1人、社会にレイプは犯罪という認識が薄い、日本男性は得してるなど、事態をこまめに書いてくれた。https://t.co/gNghb1yWX5
— divayoshiko (@divayoshiko) 2017年12月30日
ちなみに、NYTの記事はこちら。
www.nytimes.com/2017/12/29/world/asia/japan-rape.html
さて、divayoshiko さんのTWEETの内容を分けて考えてみます。
あ、結論から言いますと、目くじらをたてるほど間違っているわけではない、、、です。
1.レイプされた女性の15人に1人しか訴えない
2.起訴されて罪に問われるのは10人に1人
3.社会にレイプは犯罪という認識が薄い
4.日本男性は得してるなど、
1ですが、これはdivayoshiko さんの解釈が間違っていますね(でも、決定的な間違いはこれだけ)。以下が該当部分ですが、NYタイムスが言っているのは、紙の上では(統計上は)、日本では生涯のうち15人に1人しかレイプを経験しないということです(あくまでも調査によると、、ということですけどね)。
On paper, Japan boasts relatively low rates of sexual assault. In a survey conducted by the Cabinet Office of the central government in 2014, one in 15 women reported experiencing rape at some time in their lives, compared with one in five women who report having been raped in the United States.
2ですが、これもdivayoshiko さんの解釈が間違っています(が、記者さんの書き方が誤解を呼ぶものだった)。さらに、間違ったといっても、拡大解釈すれば正しいとも言えます。10人に1人は罪に問われないとDIVAYOSHIKOさんが書いておられますが、有罪なのに、実刑なしだとすると、罪に問われないと解釈しても、間違っているとは言えません。
原文によりますと、レイプ犯罪を犯した人が起訴されて、有罪判決を受けたとしても、(有罪となった)10人のうち、一人ぐらいが罰を受ける(執行猶予付きのもの)と言っています。
9人は有罪になったのに、罰は受けないということです(有罪になったのに、実施の罰を受けない、、ってなぜですかね??このあたり疑問が残りますが、、有罪と言えば、罰があると考えるのが普通ですけど、、この疑問に答えを与えていないNYTの記事は親切でないですね、、、このあたりで気づき始めたのですが、この記事の文化的解釈の部分、、、著者さんの書き方が甘いです。プロであれば、じゃ、9人はどうなってんの?に答えるでしょう。)。
、、ここで、TWEETERで指摘を受けたので原文を読み返してみますと、、、
And even when rapists are prosecuted and convicted in Japan, they sometimes serve no prison time; about one in 10 receive only suspended sentences, according to Justice Ministry statistics.
「日本では、レイピストが有罪判決を受けたとしても、有罪判決を受けたものが懲役をしない場合がある。10人に約1人は執行猶予付きの罰しか受けないのである(法務省の統計によると)。」
、、さて、上に書いたことは私の勘違いでした(DIVAYOSHIKOさんと同じような勘違いをしたと思います)。
私は、え?10人のうち1人しか、執行猶予付きの刑にしかならない、、と書いてあるので、じゃ9人は罪に問われないのか???と思ってしまったわけですが、DIVAYOSHIKOさんもそう解釈されたのでしょう。
実際に意図されたことは、せっかく有罪判決がでても、10人に1人は実兄を受けないということのようです。
有罪判決を受けた10人中、9人が実刑を受けるのならば、日本はレイプに対して厳しい罰で望んでいるということではないでしょうか?
著者さんが、日本はレイプに対して甘いと結論づけたかったのでしょう。実際、10人に1人が甘いのであれば、それを示すために、欧米ではそういうケースは執行猶予にほとんどならない、、などというデータを示す必要がありますね。
甘い制度だと言いたいのに、そんなに甘くない統計をもってきて、甘いと主張しているために私は勘違いをしてしまったのです。
つまり、、、
And even when rapists are prosecuted and convicted in Japan, they sometimes serve no prison time; about one in 10 receive only suspended sentences, according to Justice Ministry statistics.
と書くよりも
And even when rapists are prosecuted and convicted in Japan, one in 10 receives suspended sentences and avoids a jail term, according to Justice Ministry statistics.
が適当かと思います。
問題は著者さんが、「日本はこんなにレイプに対して甘いんですよ~」と言おうとして、有罪になったのに、懲役をまぬがれることがある、、とし、10人に1人が執行猶予になる程度なんです!(全然、甘くないじゃん~)と言う感じで言いはなった点でしょう。
それを私は10人に1人しか執行猶予つきの罰にしかなりません、、と解釈してしまい、、、え、後の9人は無罪なの?と思ってしまいました。
こらあ、恥をかかせやがってえ、、、という気持ちです。ちゃんと書いてよ~。
となると、
「起訴されて罪に問われるのは10人に1人」と間違って解釈したdivayoshiko さんが勘違いした理由もわかります。私と同じ理由で勘違いをされたわけです。だって、NYTの記者さんが、そういう風に解釈されてもおかしくない書き方をしているからです。
3人のネイティブに問い合わせたところ、彼らも、この部分が変だと言っています。つまり、この上の勘違いは、正しい読みをしていたから(DIVAさんも)、勘違いになったということではないでしょうか?
3.社会にレイプは犯罪という認識が薄い
これは、以下の部分で似たようなことが言われていることでしょう。厳密に言えば、「日本の女性はレイプを「同意のないセックス」と描写する度合いが低いと学者たちが言っている」とあります。NYTの記者さんは、情報源を正確に記したほうが信頼性が増すでしょうね。学者が言っているっていう言い方、誰が言ったのかが書いていない、、このあたり、プロのNYタイムスの本業の記者じゃない気がしてきました。
内容的に、学術論文が存在しそうな感じではありますが、なんとなく、誰かが、そう言っただけ、、という感じがします(だからこそ、誰が言ったのかを書いてほしいところ)。
But scholars say Japanese women are far less likely to describe nonconsensual sex as rape than women in the West. Japan’s rape laws make no mention of consent, date rape is essentially a foreign concept and education about sexual violence is minimal.
4.日本男性は得してるなど、
これは正しいでしょう。ただ元々の日本文自体が、やや大ざっぱな言い方です。おそらく厳密に言えば、日本文化では「(セックスに関する)同意」ということの定義が曖昧なところがあり、それを悪用する男性もいるかも、、という風な意味にもとれますが、大ざっぱすぎる発言ですので(上智大学の先生の意見ですね)、丁寧に言い換えていただきたいものです。読み方によっては、すべての日本人男性がそう考えてと決めつけていると誤解されてしまうかもしれません。
“It’s quite recent that activists started to raise the ‘No Means No’ campaign,” said Mari Miura, a professor of political science at Sophia University in Tokyo. “So I think Japanese men get the benefit from this lack of consciousness about the meaning of consent.”
ここまで書いて分かりました。問題は、この記事の「解釈」の部分(記者さんが工夫して主張しようとした部分)は書き方に関して脇が少し甘いです。
著者を見ると、Hisako Uenoさんとおっしゃる日本人の記者さんのようでした。<う~ん、後で考えると、これもまちがっていました。すみません。>
ただ、重要な記事の一部をとって、やいやい言うのは意味があまりないので、反省しています。
それにしても、岡山県のご出身ということで、、、英語で活躍している日本人の99%は西日本人説にまた一票が、、、(私の西日本人仮説をご存知でないかたは、こちらをどうぞーー>リンク)。
既に何人かが書かれていますが、英語喉さんの英文解釈には間違いがあります。誰にでも間違いはあり得るのですが、今回は他人を批判する中での間違いなので重大です。他人の間違いを指摘したり、著者の書き方を非難したりする際には、特に念を入れて慎重に書くべきでしょう。
項目2は執行猶予の部分を読み間違えています。執行猶予というのは有罪判決につくものであって、それが10人にひとりの割合だと明晰に書いているのです。
項目3は describe A as B 「AをBと描写する」のAとBの取り違えです。
執行猶予に関しては知っていました。私の勘ちがいした理由はエッセイ中に書きました。
「英語喉さんの英文解釈には間違いがあります。」とおっしゃっていますが、実はこれはTWEETERでもおっしゃっているかたがいますが、どこが間違っているか分かりません。勘違いはしましたが、まちがっていたわけではないと思うのですが、、、。
結局、ネイティブ3人に確認したら、全員が、あの文がおかしいといいました。矛盾していると。つまり、私もDIVAYOSHIKOさんもネイティブと同じ間違いかたをしたということで、逆に、正しく読んでいたから勘ちがいしたと言えるでしょう。
Do you feel the last sentence in the following two paragraphs is confusing? This is from a recent New York Times article. Let me know what you think! Thank you!
Last month, prosecutors in Yokohama dropped a case against six university students accused of sexually assaulting another student after forcing her to drink alcohol.
And even when rapists are prosecuted and convicted in Japan, they sometimes serve no prison time; about one in 10 receive only suspended sentences, according to Justice Ministry statistics.
(Source: http://www.nytimes.com/2017/12/29/world/asia/japan-rape.html)
もしかして「執行猶予」の意味をご存知なかったのでしょうか。この場合の「猶予」は普通の意味とは違っていて、執行を先延ばしにするのではなく、一定期間無事に過ごせば実刑の執行がなされなくなることをさす法律用語です。
問題は、著者のかたが、日本はレイプに厳しくないという主張をしようとして、10人に1人は執行猶予で終わってしまうと言いだした点です。それを私は勘違いしました。だって、10人に1人しか、情状酌量でしょうか?、実刑判決(というのかな)となるならば、日本はレイプに厳しいと言うことになりますよね。SOMETIMESといって、前々、監獄行きにならないというのなら、せめて10人に3人はなら分かります。
失礼ながら「せめて10人に3人ならsometimesで分かる」というのはあたかもsometimesに一定の確率以上という量的含意があるような解釈である点でまず正しくないと思います。また、起訴が非常に難しいことを述べた後に And even when...と起訴後のことを説明しているのですからおっしゃる通り読み手は正しく「厳しくない」という主張を期待し、10人に1人の執行猶予は「厳しくない」と素直に理解します。ここで「おや?10人に1人しか執行猶予にならないなんて厳しいなあ!」という感想は、かなりユニークだと思います。記事の著者を論理性がないと批評するのは筋違いかと思います。
「そして、レイピストが有罪判決を受けたとしても、それでも実刑を受けないものもいる。法務相の統計によると10人に1人は執行猶予付きの刑しか受けないのである。」と書いてあったので、素直に、えらく日本はレイシストに甘いなと理解したら、誤訳だと言われたのだが、これは誤訳じゃなくて、ライターが紛らわしい書き方をしたということでは?
日本のこと知らないネイティブが読んでも間違って解釈しますかね?
もしそうなら書き方が悪いですよね。
強姦のような重大な被害のある犯罪の実刑を免れることを「得している」と表現する事が、被害者にとってどんなに無神経であるかを考えていただきたいです。
著者さんは、色んな人が読んでいるので、細かい部分で気を付けたほうが良かったかもしれないですね。